大山崎春茶会 ポスター

大阪の中国茶館「無茶空茶」が主催している「大山崎春茶会」に行きました。
場所は京都の大山崎山荘美術館で、年に2~3回行っていて、今回で二十回目になるそうです。
以前から知ってはいたけどなかなか行けなかったのですが、今回初めて行くことができました^^

美術館の綺麗な庭や通常非公開の茶室を借りて美味しい中国茶が飲める、とても気持ちの良いイベントです。

イベントは2日間あって、それぞれ違うお茶を出すようですが、2日もいけないので今回は前半の1日だけの参加です。


このイベントでは、山荘内に10箇所ほど(2日間で20箇所)、中国各地の銘茶を煎れてくれるお茶のブースを回って飲み歩きます。

そしてこのイベント、他のお茶イベントとちょっと変わっているのが、自分の茶杯を持参するということ。
イベント側で茶杯を用意してくれたり、紙コップで簡易的に・・・なんてものはありません^^;
もちろん、持ってない方は受付で数百円で茶杯を買うこともできますが、僕はお気に入りの信楽焼の茶杯を持参^^

茶杯

そしてこんな風に煎れてくれるわけですね。

西湖龍井

この写真で煎れてもらっているのは、「明前西湖龍井みんぜんさいころんじん」。
春の中国緑茶と言えば龍井茶は代表的なお茶ですね^^

柄杓みたいなもので茶杯に入れてくれるのですが、これは茶漉しもない、唐代のスタイルらしいです。
確か、ジェット・リーが出ていた「SPIRIT」だったかな?
言われてみれば、こんな風にお茶を飲むシーンがあったような気もします。

池のほとりでは、重慶で飲まれているプーアル茶「重慶沱茶」や雲南紅茶の「てん紅」がふるまわれていました。
この場所は藤棚の下になっていて、ロケーションがばっちりなとこ。

最初はてん紅。

てん紅

はちみつが入っているような甘さがあって、いつ飲んでも美味しい紅茶です^^
次は重慶沱茶。
煎れる前に写真を撮らせていただきました。
これを削ったり手で割ったりしてから煎れるんです。

重慶沱茶

変なクセがなく、意外に美味しかったです^^
沱茶や餅茶の茶葉で煎れるプーアル茶って日本人は苦手な人多いと思うけど、これは飲みやすいので多分いけると思います。

そして普段公開されていない茶室「彩月庵」も中に入らせていただきました。
彩月庵

ここでは、お茶の祖と言われている陸羽が書いた書物に「茶経」の記述をもとに、「無茶空茶」の黄先生が、唐の時代に煎れていたであろうという煎れ方で抹茶を煎れてくれます。

中国抹茶

“抹茶”というと日本独自の文化のように思えますが、実は中国から伝わってきたものだったんですね。

そしてここでは塩で調味して飲みました。
昔は今飲まれているような煎れ方が確立しておらず、葱を入れたり、柑橘類を入れたりなど、色々なもので味付けがされていたんです。
でも、陸羽はそれだとお茶本来の味がわからないと批判し、「煎茶法」が確立されました。
それでも塩だけは入れていたようですけどね^^

なぜ中国に抹茶がなくなったのか?というと、その後の明の初代皇帝が抹茶を禁止したからです。
抹茶は高級品で、贅沢な嗜好品だったのですが、皇帝は貧民出身でそのような贅沢品が嫌いだったようです。
中国は皇帝の力が大きいですから、「禁止」と言われたらすぐになくなっちゃうんですね。

日本には禁止される前に入ってきていたので、その文化が残っているというわけです。

そしてもう1つの茶室、「トチノキ亭」でも面白いお茶に出会いました^^

白茶餅

白茶の餅茶です!
と言っても、それの何が面白いのかは、中国茶を知ってる人にしかわからないのかもしれません^^;

白茶と言えば産毛が多く、味も淡泊で繊細、煎れる時もその辺を配慮しながら温度、煎れ方ともに気をつけながら煎れます。
発酵が浅いので、作った年度から翌年までに飲んだ方が良いと言われています。

それに対し、餅茶はプーアル茶などによく使われる保存方法で、菌類発酵をさせながら長年かけて餅のような塊に仕上げていきます。
それを飲む時は、専用のナイフで削って茶壷に入れて、熱々のお湯をダイナミックに圧力を掛けながら煎れて茶葉を開かせる必要があります。

白茶

このように全く真逆な性質なものがドッキングしてしまっているんですね^^;

しかし最近、白茶がこういう保存法で保存できるようになったので福建省辺りでは流行っているそうです。
どっちで煎れたら良いのか迷いますが、菌類発酵していることもあるので、ダイナミックな煎れ方をした方が良さそうです。

発酵させた味わいがあるものの、甘い白茶の香りもかすかに残っていて、面白いお茶でした^^


お茶も美味しいけど、無茶空茶さんはやっぱり演出が上手ですね^^
大山崎山荘美術館、という場所を選ぶのもなかなかですね♪
美術館自体が良いところです。